7.会計処理について
特定非営利活動法人にとって、会計は、適正な事業運営及びアカウンタビリティー(説明責任)の点から重要な役割を果たすものです。
つまり、
- 法人の活動の枠組み(財政の計画)を、法人の目的やメンバー(社員)の総意に 従って定め、理事に財務に関する一定の権限を与えること
- 法人の活動結果を、メンバーや寄附者等に正確に伝えること
- 法人の活動状況を評価し、その後の活動内容を合理化、効率化すること
- 会計を外部に説明することによって、社会的信用を得ること
等の機能を果たします。
このため、特定非営利活動法人の会計について、法では次の原則を定めています。
A 会計の原則(法第27条)
- 予算準拠の原則…「収入及び支出は予算に基づいて行うこと。」
- 正規の簿記の原則…「会計簿は、正規の簿記の原則(※)に従って正しく記帳すること。」
- 真実性・明瞭性の原則…「財産目録、貸借対照表及び収支計算書は、会計簿に基づいて収支及び財政状態に関する真実な内容を明りょうに表示したものとすること。」
- 継続性の原則…「採用する会計処理の基準及び手続については、毎年(度)継続して適用し、みだりにこれを変更しないこと。」
※「正規の簿記の原則」とは
一般的に次の3つの要件を満たすことが必要です。
- 取引記録が客観的に照明可能な証拠によって作成されていること
- 記録、計算が明瞭、正確に行われ、かつ順序、区分などが体系的に整然としていること。
- 取引記録の結果を総合することによって、簿記の目的に従い法人の財務状況あるいは財産管理の状況などを明らかにする財務諸表が作成できること。
通常、正規の簿記の原則を満たす簿記として、「複式簿記」が用いられます。
実際、複式簿記を用いた方が便利でしょう。
B 区分経理(法第5条)
特定非営利活動法人は、その本来の目的である「特定非営利活動に係る事業」の他に、「収益事業」を行うことが認められています。
しかし、「特定非営利活動に係る事業」と「収益事業」とが混同されることは適当ではないため、収益事業に関する会計は区分して会計処理しなければなりません。
C 情報公開(法第28条、第29条)
「6 法人格取得後の義務等(1)事業報告書等の情報公開と所轄庁への提出」をご参照ください。
備考
会計方法は、上記の条件を満たしていれば、企業会計方式でもいいでしょう。ただし、「収支計算書」は企業会計にはありませんので、「損益計算書」を加工する必要があります。