9.解散時の手続について
(1)解散事由(法第31条・第32条・第40条)
特定非営利活動法人は、総会での議決・所轄庁の認証等一定の手続きを経て、解散することができます。
解散とは、一般的に、法人がその目的である本来の活動をやめて、財産関係を清算する状態になることをいいます。
NPO法人が解散するのは、以下の7つの場合です。(法第31条第1項)
- 社員総会の決議
NPO法人は、社員の自主的な判断で解散することができます。この場合原則として、総社員の4分の3以上の承諾による決議が必要です(民法第69条)。この4分の3という数字は定款の定めにより増減することはできますが、総会以外では解散の決議をすることはできません。 - 定款で定めた解散事由の発生
解散事由は、定款で自由に定めることができます。
例えば定款で、「この法人は平成15年12月31日をもって解散する。」、「社員の数が20名未満となったときには解散する。」などと定めており、その条件になったときのことをいいます。 - 目的とする特定非営利活動に係る事業の成功の不能
「事業の成功の不能」とは、その法人が主たる目的としている特定非営利活動に係る事業について成功する見込みがなくなり(またはすることがなくなり)、そのNPO法人の存在意義がなくなってしまったような場合です。
通常このような場合には解散について社員総会の決議を行うものですが、社員総会を開催できない場合や総会を開催しても解散の決議ができない場合があり、そのようなときでも解散をしなくてはならない場合があるため、このような規定が置かれています。
どのような場合を「成功の不能」とするかは明確になっていません。なお、「成功の不能」については、所轄庁の「認定」を得る必要があります。 - 社員の欠亡
「欠亡」とは社員がゼロになることをいいます。「欠乏」とは異なります。 - 合併
- 破産
NPO法人がその債務を完済できなくなった状態をいいます。
裁判所は、理事若しくは債権者の請求により、又は職権により破産宣告をすることになります。 - 設立の認証の取消し(法第43条)
法人が改善命令に違反した場合であって、他の方法により監督の目的を達成することができないとき、所轄庁は法人の設立の認証を取り消すことがあります。
(2)届出
前記の1、2、4、6により解散した場合には、清算人は、「解散届出書」(第7号様式(規則第11条関係))に解散及び清算人の登記をしたことを証する登記簿謄本を添付して所轄庁に提出しなければなりません。
(3)清算
解散事由が発生したNPO法人は、以後清算手続に入ります。清算手続に入った法人は「清算法人」と呼ばれ、その法人は清算の目的の範囲内においてのみ存続するとみなされます。
NPO法人が解散し、積極財産(資産)から消極財産(負債)を差し引いてもなお財産が残った場合には、その財産(「残余財産」)は、定款の定めにしたがって「帰属すべき者」に帰属することになります。なお、債務の方が多い場合は、「破産」となります。
A 清算人
法人が解散したときは、合併及び破産の場合を除き、理事が清算人になります。ただし、定款に定めがあるとき、又は社員総会で他の人を選任したときは、その定め又は選任による者が清算人となります。
なお、裁判所は、清算人がいないとき、又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、利害関係人若しくは検察官の請求により、又は職権をもって、清算人を選任することができます。又、重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により、又は職権をもって、清算人を解任できることとなっています。
B 清算人の職務
- 清算中に就職した清算人は、就職後、当該清算人の登記をしたことを証する登記簿謄本を添付した「清算人就職届出書」(第8号様式(規則第11条関係))を県に提出しなければなりません。
- 清算人は、現務の結了、債権の取立及び債務の弁済、残余財産の引渡を行うために必要な一切の行為をすることができます。
- 清算人は、その就職の日より2か月以内に少なくとも3回公告し、債権者に対し2か月以上の一定期間内に債権請求の申し出をする旨を催告する必要があります。ただし、その公告には、債権者が期間内に申し出をしないときはその債権は清算から除斥される旨を附記しなければなりません。 なお、分かっている債権者には、個別にその申出を催告する必要があります。
- 清算中の法人が破産したときは、清算人は、直ちに破産宣告の請求を裁判所にして、その旨を公告する必要があります。
- 清算が結了したときは、清算人は、清算結了の登記をしたことを証する登記簿謄本の写しを添付した「清算結了届出書」(第10号様式(規則第13条関係))を県に提出しなければなりません。
C 残余財産
NPO法人は公益活動を主たる目的とする非営利の法人であるため、解散時の残余財産は自由に処分することはできず、法律上、「帰属すべき者」は公益性の高い次の者から選定されなければならないこととされています。
- 特定非営利活動法人
- 国又は地方公共団体
- 民法第34条の公益法人
- 学校法人
- 社会福祉法人
- 更生保護法人
定款に残余財産の帰属すべき者に関する規定がない場合は、清算人は所轄庁の認証を得てその財産を国又は地方公共団体に譲渡することができます(法第32条第2項)。この場合、「残余財産譲渡承認申請書」(第9号様式(規則第12条関係))により認証の申請をします。
定款に残余財産の帰属先の定めがなく、かつ清算人が上記の認証申請をしなかった場合、または認証申請をしたけれども不認証となった場合の財産は、最終的には国庫に帰属します(法第32条第3項)。